中国文学科セメスター留学(11月の便り)
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二胡の授業 |
武術の授業 |
(学生からの便り)
4ヶ月もあると思っていた留学生活も残り1ヶ月余りとなり、少しずつ帰国のための準備を考え始めている今日この頃。11月にもなると天津の気候はだんだんと冬へと近づき、12月になれば最高気温ですら氷点下という日本では経験できそうもない天候になってしまうとのことなので、コートを日本から送ってもらう者、現地の天津人が着る様なモコモコしたダウンジャケットを買う者、方法は様々ではあるものの、寒さに備え、皆しっかりとした冬の衣服を身に着け始めています。
学生からの便りでは、9月は『学習の様子』、10月は『中国での生活』と取り上げて来たので、今回は『交流の楽しさ』についての便りを書きます。
自分たちは中国にいる以上、例え食事をするだけにしても中国人との交流は避けて通れません。正直最初は「日本人を受け入れてくれるのだろうか?」などと交流に対して恐れや不安を抱いていました。しかし今になって考えてみると、南開大学には留学生がたくさんいるのだから店員にとっても中国語が通じないことは日常茶飯事なのです。こちらが知っている単語と身振り手振りで必死に欲しいものを伝えようとすると、相手もちゃんと理解しようと努力してくれます。
自分の伝えたいことが通じた時の嬉しさ、最後の「謝謝!」「没事儿!」そして心地よい笑顔!この感動はおそらく文章では伝わらないでしょう。まぁ中国語が読めないので全く分からない料理が出てくるのは仕方ありませんが。それにおいしければメモするなりして覚えればいいのです。そうした小さなことの積み重ねこそが中国語能力の上達に繋がるのですから。
ちなみに2〜3ヶ月もいれば会話もある程度できるようになり、知っている料理名を言う、店員が何を言っているのか理解する、そして軽い雑談をしながらの注文くらいは確実に全員ができるようになります。
それ以外にも交流の機会はたくさんあります。なんといっても周りは全て中国人なのですから。留学における最大の利点です。普通に過ごしていても寮のおばさんこと《阿姨》との交流、そして語学パートナーや家庭教師がいるので最低限の交流には事欠きません。
例えば自分の場合、音楽を通じたくさんの南開大学の学生などと仲良くなり、中秋節(日本で言うお月見)の日に彼女たちの学内行事としての公式パーティーに友人数名とともに招待されるまでに至りました。皆、軽食をとりつつ雑談した後、漫談、演奏、歌、詩の朗読、武術披露などと各グループで発表する行事で、ゲスト扱いの自分たちは友人のギター演奏の下、日本の歌を合唱した後、中国語での歌詞説明を行いました。もちろん完全な中国語で説明とはいかず拙いものではありましたが、このような場での説明は本当に生きた中国語を使っての会話となるので、たくさんの意味を込めて「勉強」になります。
もちろんこれは一例に過ぎず、他にも様々な交流は生まれています。例えば一緒に朝の運動をする者、二胡の練習を兼ね合奏する者、休みの日などを利用してカラオケに行き息抜きをする者など、交流の幅は無限大だと言っても過言ではないでしょう。機会を作ろうと思えばいくらでも作れる環境というのは本当に良いもので、中国留学に来る目的がなんであろうとほとんど叶えられることでしょう。
そして自分の気持ちをうまく伝えられない歯痒さにより「もっと中国語の能力を高めたい!」と考えるようになり、授業へ臨む態度も真摯なものへと変化していきます。授業で教わる単語や文法は実践で生かしやすいものばかりなので、勉強している内容を実生活で使うことができます。自分など、日本にいる時に比べ勉強が苦痛ではなくなってきている事を実感しています。元々勉強嫌いの性分なのですが、こちらで中国語を勉強していくうちに学習内容が自分の身に付いていく事が楽しくなってきてしまい、若干の戸惑いを覚えつつも毎日を過ごしています。
留学生活における交流はとても重要なものです。交流を通じ中国語の能力が向上していくのはもちろんのこと、自分自身の価値観を変える事も可能かもしれません。
そして日本以外の場所で短期間といえども生活することは今後の人生でもう一度あるかどうか分かりません。この素晴らしい体験は長い人生における一つの話のたねとなるでしょう。ぜひこの機会を逃さずに中国に来ることを薦めつつ、このあたりで筆を擱かせていただきます。
(二宮記)
教室前に貼られた広報部の壁新聞
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