源氏物語の本文資料の再検討と新提言のための共同研究

■ はじめに〜研究代表者挨拶〜

 

 

 

 

 
 

■ 國學院大學文学部教授 豊島秀範 ■

日本の古典文学を代表する『源氏物語』は、平成20年(2008年)に千年紀を迎えます。
藤原公任が「このわたりに若紫やさぶらふ」と、紫式部に語りかけたことが『紫式部日記』に記されているのが、今から千年前の1008年のことであったからです。

以来、『源氏物語』の本文は、多くの受容者を得て、さまざまな形で伝流してきました。そして、近年では、いわゆる青表紙本の大島本が、流布本としての地位を獲得してきましたが、最近ではその大島本の地位が揺らぎだし、その再検討が研究者の間で始められております。

このように、本文に関する研究は、研究者人口の多い『源氏物語』においてすら、いまだ不徹底なままであり、『源氏物語』における基礎的研究として、この本文のありようを解決することが急務なのです。とはいえ、五十四帖におよぶ膨大な量の本文についての比較・確認の作業は、決して容易なことではありません。

幸いなことに、この共同研究には、目下、『源氏物語』の本文研究の最前線で活躍している研究者の方々に参加していただくことができました。今回の研究の重要な課題の一つは、「源氏物語の研究支援体制の組織化」にあります。多くの研究者に積極的に参加していただけるような組織を作り上げていきたいと思います。

もう一つは、『源氏物語』の本文研究に関わる若手研究者の育成にあります。日本文学の研究は、このところ低迷を続けております。『源氏物語』といえども、その研究が今後とも十分に継続されるには、大学院生を初めとする若手の研究者の成長が必要なことは言うまでもありません。

限られた年数の中での作業は、大変な労力を伴いますが、今回の研究には多くの若手研究者も参加してくれています。その力を結集することで、いまだ十分に確認されていない本文関係資料の再検討を通して、新たな提言を得るべく、研究を進めていきたいと思います。ご協力のほどを宜しくお願い致します。

 
 

 

 

 

 

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画像提供:國學院大學図書館

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