源氏物語の本文資料の再検討と新提言のための共同研究 |
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■ 研究の目的 |
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この研究の目的は、『源氏物語』諸伝本における相対的な本文関係を解明することにより、『源氏物語』本文の位相と、写本群の関わりを分別することにあります。そのために、共有資源とするべき本文データベースを構築して、対象となる本文のデータの蓄積を推進する必要があります。併せて、諸本間の本文異同の傾向について、共同討議によって明らかにし、本文についての新しい提言を目指します。 このような本研究の必要性は、以下のような研究状況から理解できましょう。すなわち、日本の文学作品は、近世以前においては、写本をさらに転写する形で伝えられてきました。そのために、ほとんどの作品にはオリジナルな原稿が残っておりません。また、書写を経ることで、表現その他に違いの生じた本文が受容されてきました。印刷文化以前の書承の繰り返しが、結果的にさまざまな異本・異文を発生させてきたのです。そうした状況もあって、日本の古典文学の研究においては、その基盤となる本文の研究は遅れた状況にあります。 『源氏物語』は、日本の古典文学を代表する作品であり、2008年には千年紀を迎えます。その間に多くの受容者を得て、さまざまな本文の形で伝流してきましたが、特に最近は、そうした本文についての再検討が迫られております。研究者・読者の多い『源氏物語』においてすら、その本文は不徹底な状況にあるのです。 この研究は、次の5項目によって構成されています。
上記のテーマについて、日本の多くの研究者と情報を共有し、大学院生などの若手を含めた共同研究として進めることによって、新しい提言へと結実させていくことを目標としています。 |
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