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1.ターゲットにしている顧客層
 1-1.販売・宣伝活動を行うとき重視している人たち

彦坂 恵

 問1「販売・宣伝活動を行うとき重視している人たち」の分析は、(「1-1-2.新たにターゲットにしていきたい 人たち」を除いて)有効回答128社のうちの問1へ各項目への無回答社を除く113〜116社を対象として行った。また「非常に重視している」と「重視している」をまとめたものを『重視』とし、あまり重視していないと重視していないをまとめたものを『非重視』として、この二つのカテゴリーを使って分析をおこなった。

1-1-1.単純集計

 男性・女性の未就学児は、全体では (表1-1-1)、『非重視』という項目で男80.7%女78.9%と、どの年代よりも高い%を占め、それに比例してやはり『重視』という項目も、どの年齢層よりも低く、男11.4%・女12.3%となった。ここから、ほとんどの企業がまったくこの年代を重視していないことがわかる。
 男性・女性小・中・高校生もやはり、未成年ということで、小・中学生男72.8%・女71.1%、高校生男60.9%・女58.3%となり、『非重視』%が高く半分以上を占めた。これに比例して『重視』は、小・中学生男19.3%・女20.2%、高校生男27.0%・女%27.8と低くなっている。(表1-1-1)しかし未成年の中では高校生が一番『重視』%が高く、『非重視』%が低い。よって年が上がるにつれて『重視』が高くなり、『非重視』は低くなるように両者は比例していることが明らかである。これは性別に関係無しである。
 男性・女性大学・短大・専門学校生は、今までの学生の所とは違い、全体では、『重視』が、男40.9%・女42.6%と約半分近くを占めるようになった。それに比例して『非重視』は、男45.2%・女42.6%となるのだが、興味深いのがこの%が男子高校生の「重視していない」というひとつの項目で45.2%と同じになり、女性高校生も43.5%とほぼ同じ%を示し、ここからも男子大学・短大・専門学校生から『重視』が高くなり、『非重視』が低くなったことがわかる。(表1-1-1)
 男性・女性フルタイム就業の独身者・既婚者と男性・女性のパートタイム就業の独身者・既婚者は全体では、独身だろうが、既婚だろうが、フルタイム就業者のほうが、『重視』が高くなり、フルタイム就業者の男性独身者58.6%・既婚者62.1%、女性独身者59.5%・既婚者62.1%となり、どの年齢層よりも一番高い%を示した。『重視』のパートタイム就業者は、男性独身者43.5%・既婚者47.8%、女性独身者51.8%・既婚者55.7%となっておりフルタイム就業者の次に高い%を示した。男性パートタイム就業者の場合、女性家事労働者の45.6%、男性大学生・専門学生・短大生40.9%や、女性大学生・専門学生・短大生42.6%と、ほぼ同じ%となった(表1-1-1)
 ここからいえることは、『重視』は、やはり安定していて収入が高いフルタイム就業者がどの世代よりも一番高く、そして比例して『非重視』は低くなった。またパートタイム就業者はやはり女性の方が、パートタイム就業が定着しているため、『重視』が半分以上を占め、男性の方はフルタイム就業が定着しているため、女性家事労働者や男性女性大学生・専門学生・短大生と同じぐらいしか重視されていない。
 そして今までの年齢層では、同じ年齢層なら男性と女性は同じように%がでていたがしかし、男性は独身だろうが、既婚だろうが『重視』が、フルタイム就業者のほうが、就業独身者58.6%・既婚者62.1%で、パートタイム就業者43.5%・既婚者47.8%よりも高くでている。確かに女性も男性と同じことがいえるのだが、男性と比べると、フルタイム就業者は、女性独身者59.5%・既婚者62.1%、パートタイム就業者は、女性独身者51.8%・既婚者55.7%となり、さほど大差がない。よって女性ではフルタイムとパートタイムで差別化している企業は男性と比べると低いことがわかる。
 男性・女性の家事労働者は全体では、今までのどの年齢層・就業形態でも性別では差ほど差がでなかったがここでは『重視』が男性34.2%、女性45.6%となり、『非重視』が男性では、42.1%、女性36.0%とどの年齢層よりも性別で差がついた。男性は男性の無職の高齢者とほぼ同じ%を示し、女性は男性パートタイム就業の既婚者とほぼ同じ%を示した(表1-1-1)
 男性・女性の無職の若者と高齢者は全体では、『重視』が若者は、男性15.7%・女性20.0%と未就学児の次に低く、男性・女性小中学生とほぼ同じである。しかし『非重視』は男性58.3%女性54.8%と男性・女性小中学生と比べると低い。この違いは男性・女性の無職の若者は、「どちらでもない」というところでどの年代よりも高く、男性26.1%、女性25.2%も占めている。(表1-1-1)よってほとんどの企業が男性、女性の無職の若者は重視していないまたは、考えてもいない領域であることがわかる。高齢者は『重視』が、男性37.2%女性37.4%で、『非重視』が、男性50.4%・女性49.6%となり、約ではあるが、『重視』が、男性大学生・短大生・専門学生と同じ%を示した(表1-1-1)
同じ無職者でも若者には何の保証もないので、企業は期待できないとみてどの世代よりも低い%がでたと考えられ、高齢者は年金やまた子供に対する教育費がかからないため、趣味のほうに余剰した分のお金を向けてくれるのではないかと考えられ、そしてこれからは高齢化時代と呼ばれているため重視しているのではないかという結果がでた。

 

1-1-2.新たにターゲットにしていきたい人たちの単純集計

 問1の右端欄の「新たにターゲットにしていきたい」を分析する上で、ここでは%の分母を128社として計算した。
 右端欄の単純集計では、全ての性別・年齢層で“いいえ”と答えたのが90%を超え、平均で98.3%とでた。男性・女性フルタイム・パートタイム就業の既婚者と独身者にいたっては100%を占めた(表1-1-2)。この年齢層では全体の単純集計においても、もう既に『重視』をしている企業がほとんどのため、改めてこれからターゲットにしていくとは考えていないからだと考えられる。“はい”と答えたのは、全体で3%以下となり、平均で2.0%とでた。ここからみると、ほとんどの企業で新たにターゲットにしようと考えているところはほとんどない。そして一番高い%をだしたのが、女性高校生・大学生・短大生・専門学生と女性・無職の高齢者の3.9%である(表1-1-2)。ここで同じ年齢層の男性よりも高い%を示したが、確かに全体の単純集計をみるとこの年齢層の性別で比べると、どれも女性の方が重視されている。だが性別の差は約1%なのでほとんど変わらないとみてよい。そしてやはりこの年齢層は全体の単純集計においても『重視』が、あがってきている事がわかり、男性・女性フルタイム・パートタイム就業の既婚者と独身者は、もうすでにターゲットとしているため、次のターゲットとすると考えているのが、男性・女性高校生・大学生・短大生・専門学生と女性・無職の高齢者だという結果がでた。

 

1-1-3.因子分析

 因子分析を行った結果四つの因子がでた(表1-1-3)。第一の因子の負荷が強かったところは、男性・女性のフルタイム・パートタイム就業の独身者・既婚者である。性別に関係なしに男性・女性共に就業者に強い負荷がかかった。そしてこの第一因子はどの因子よりも圧倒的に高い因子を示したのでここから、企業が重視していると考えているのが一番多いのは、第一因子であることがわかる。
 第二因子の負荷が強かったところは、男性・女性未就学児・小中学生である。性別に関係なしに、未成年者特にまだ法律で定められている義務教育時の未成年者に強い負荷がかかった。
 第三因子の負荷か強かったところは、男性・女性家事労働者・無職の若年者・高齢者である。ここも性別に関係なしに、就職していない人々のところに強い負荷がかかった。ここの因子は第一因子・第二因子に比べると低い値を示していた。このことから第三因子としてでてきたが、他の因子に比べるとそこまで企業はこの第三因子について重視しているところが少ないことがわかる。
 第四因子の負荷が強かったところは、男性・女性の高校生、大学生・短大・専門学生である。ここも性別に関係なしに強い負荷がかかり、またこの因子は上記の全体の単純集計で書いたようにこの年代を境にして『重視』が高くなっていっているので、そのためにここでも強い因子が出たのではないかと考えられる。
 四つの因子は独立ではあるがしかし、因子の中では相関しており、また性別ではほとんど差がなく性別よりも、年齢層の差が強いことが因子分析からわかる。

1-1-4.相関分析

 単純集計・因子分析の結果と全く同じ結果となり、性別別で同じ年齢層の相関行列を見ると、どれもすべて非常に強い相関を示し、一番強い相関を示したのが、男性小・中学生と女性小・中学生であり、0.97であった。男性の家事労働者と女性の家事労働者では、どの年齢層よりも性別で差がでたと全体の単純集計で書いたがやはり、相関行列でも性別別で同じ年齢層を見た中で、一番低い相関を示した。しかし0.81あるので単純集計では差があるように見えたが、ぎりぎりではあるが非常に強い相関を示しているとでたので、相関は強いというのが相関分析からわかった(表1-1-4)
 無相関とでたのが、男性・女性未就学児・小・中学生と男性・フルタイム・パートタイム就業の独身者、女性フルタイム就業の独身者であり、やや弱い相関であったのが、男性・女性未就学児・小・中学生と女性・パートタイム就業の独身者、男性・女性フルタイム・パートタイム就業の既婚者であった。ここからも、因子分析ででた第一の因子と第二の因子がそれぞれ独立していることがわかり、また親子ということで企業が重視しているというのはほとんどなく相関していないことがわかった。

1-1-5.規模別ブレイクとクロス集計

 因子分析からでた4つの因子を基準にまず見ていくと(表1-1-5)、第一因子において規模別の全体では、男性・フルタイム就業の独身者は平均値2.72、標準偏差1.50、既婚者は、平均値2.53、標準偏差1.48、パートタイム就業の独身者は平均値3.08、標準偏差1.46、既婚者は平均値2.99、標準偏差1.47となり、女性・フルタイム就業の独身者は、平均値2.66、標準偏差1.52、既婚者は、平均値2.53、標準偏差1.49、パートタイム就業の独身者は平均値2.79、標準偏差1.51、既婚者は平均値2.75、標準偏差1.47となり、企業規模でみても、この性別・年齢層においては、平均値は2.00〜3.00以上の値を示したので、「非常に重視している」と「重視している」との間に位置している。標準偏差においては、1.30〜1.60以上を示し、どの年齢層よりもちらばっている事がわかる。よって単純集計や因子分析ででたように、この年齢層はどの年齢層よりも重視されそれは、相関分析からもわかるように性別に関係なくそして、どの企業の規模にでもこの年齢層は重視されていることがわかる。規模別クロス集計をみても、どの企業規模においても値が同じようにちらばっており、どの企業規模が特に目立っているというのがない。しかし、全体の単純集計と同じようにやはり、パートタイムよりはフルタイム就業者のほうが規模別クロス集計をみても、高い%を示している。1000人以上の企業規模においても、『重視』という%がどの年齢層よりも高く、よって大企業もこの年齢層を重視していることがわかる。
 第二因子において規模別の全体では、男性・未就学児は、平均値4.38、標準偏差1.12、小・中学生は、平均値4.05、標準偏差1.30、となり、女性未就学児は、平均値4.32、標準偏差1.16、小・中学生は、平均値4.00、標準偏差1.33、となり、企業規模でみても、どの企業規模でもこの性別・年齢層においては、平均値は約4.00台の値を示したので、「あまり重視していない」と「重視していない」との間に位置している。標準偏差においては、約1.00〜1.30を示し、どの年齢層よりもちらばっていない事がわかる。よって単純集計や因子分析からでたように、この年齢層はどの年齢層よりも重視されていなくそれは、相関分析からもわかるように性別に関係なく、どの企業の規模にでもこの年齢層は重視されていないことがわかる。特にこの中でも未就学児は男女共に、全体の単純集計でもでたようにどの年齢層よりも平均値は一番高く、どの企業規模別でも平均値が4.00以上を占めており、標準偏差も低い。規模別クロス集計をみると、全体の単純集計や規模別ブレイクの結果と同じ結果がでており、1000人以上の企業規模で『重視』が、男性・未就学児10.0%、小・中学生は、10.0%、女性未就学児は、10.0%、小・中学生は、10.0%、となっており逆に、『非重視』は、男性・未就学児70.0%、小・中学生は、70.0%、女性未就学児は、70.0%、小・中学生は、70.0%、と半分以上を占めている。よってこの年齢層は『重視』においては、300〜999人と1000人以上の企業規模では、ほとんど重視されてなく、100人未満と・100〜299人のほうに若干片寄っている事がわかる。そして『非重視』の%はどの企業規模でも一番高い%を占めており、規模別クロス集計をみてわかるように、企業規模に関係なく高い%を示している。
 第三因子において規模別の全体では、男性・家事労働者は、平均値3.26、標準偏差1.43、無職の若年者は、平均値3.83、標準偏差1.18、高齢者は、平均値3.40、標準偏差1.47となり、女性・家事労働者は、平均値2.95、標準偏差1.54、無職の若年者は、平均値3.72、標準偏差1.21、高齢者は、平均値3.38、標準偏差1.48となり、企業規模でみても、女性の家事労働者以外は、平均値は約3.00台の値を示したので、「どちらともいえない」と「あまり重視していない」との間に位置している。また同じ無職でも全体の単純集計からでたように、若者のほうが、平均値が高くなっている。女性の家事労働者は唯一平均値が2.00台で、2.95となり、「重視している」と「どちらともいえない」との間となった。これは全体の単純集計からでた、どの年齢層でも差ほど性別で差がでなかったが、この家事労働者においては性別で差がでており、全体の単純集計の、男性パートタイム就業の既婚者とほぼ同じ結果であったため、平均値においても、ほぼ男性パートタイム就業の既婚者と近かった。標準偏差においては、全体で約1.00〜1.50を示し、一番低い%をだしたのが、男性・無職の若者の1.18で、女性においても1.21となるのであまりばらつきがないといえる。しかし、男性・女性家事労働者、無職の高齢者は、ばらつきがあるので、様々な企業規模で重視されていることがわかる。そして女性家事労働者はどの年齢層よりもばらつきがあるという結果がでた。規模別クロス集計をみると規模別ブレイクの結果と同じ結果がでており、1000人以上の企業規模では『重視』が、男性・家事労働者30.0%、無職の若年者、20.0%、無職の高齢者は、50.0%、女性・家事労働者45.0%、無職の若年者、20.0%、無職の高齢者は、50.0%、となっており、逆に、全体の単純集計と同じように『非重視』は、男性・家事労働者30.0%、無職の若年者、50.0%、無職の高齢者は、40.0%、女性・家事労働者20.0%、無職の若年者、50.0%、無職の高齢者は40.0%となった。よって男性・女性の無職の若年者は企業規模では100〜299人と300〜999人に集中しており、男性・女性の無職の高齢者は100〜299人以外の企業規模に集中している。男性の家事労働者は、1000人以上の規模のところに集中している。そしてこの因子のグループの中では最も重視されている女性の家事労働者は、特に300〜999人と1000人以上の企業規模に集中しており、1000人以上の規模でみると、女性のパートタイム就業の独身者(45.0%)と同じになり、男性・パートタイム就業の独身者(40.0%)・独身者(35.0%)よりも1000人以上の規模での『重視』%が高くなっているので、同じ扱いをされていることが考えられる。
 第四因子において規模別の全体では、男性の高校生は、平均値3.72、標準偏差1.39、大学生・短大・専門学生は、平均値3.21、標準偏差1.49、女性高校生は、平均値3.66、標準偏差1.41、大学生・短大・専門学生は、平均値3.15、標準偏差1.53となり、どの企業規模でもこの性別・年齢層においては、平均値は3.00〜3.70以内の値を示したので、「重視している」と「どちらともいえない」との間に位置している。標準偏差においても、1.30〜1.53を示し、全体的に、ちらばっている事がわかる。そしてその中で、特に女性の大学生・短大・専門学生が1.53という値になり、女性家事労働者の次に、ちらばっていることがわかった。よって全体の単純集計、右端の単純集計や因子分析ででたように、この年齢層はこれから伸びる年齢層だというように企業では考えていることがわかる。
 規模別クロス集計をみると規模別ブレイクの結果と同じ結果がでており、1000人以上の企業規模では『重視』が、男性高校生は、25.0%、大学生・短大・専門学生は、40.0%となり、女性高校生は20.0%、大学生・短大・専門学生は、40.0%、となった。『非重視』は、男性高校生は、45.0%、大学生・短大・専門学生は、30.0%、女性高校生は、50.0%、大学生・短大・専門学生は、30.0%となった。企業規模でみると、男性・女性高校生は、100〜299人に集中しており、300人以上の規模の企業ではほとんど重視されていないことがわかる。これは全体の単純集計でも表れていることであり、やはり未成年であるが故なのではないかと考えられる。男性・女性の大学生・短大・専門学生は、全体的には標準偏差からもわかるように均等にちらばっており、1000人以上の規模では、『重視』が男性・女性共に40.0%を示し、高校生の時とは格段に違う。よって、この規模別ブレイク・クロス集計からも全体の単純集計にも表れているようにこの年齢層を境として重視している企業が増えていることがわかる。

1-1-6.まとめ

 やはり『重視』%は年齢が増すごとにあがっていってピークがフルタイムの就業者で次第に下がる。『非重視』は年齢が増すごとに下がっていっている。しかし同じ世代でも無職・パートタイムとフルタイムではかなり違う結果が出ており、だが、女性はそういったことでの大差がないことがわかった。よって企業は、性別よりも年齢層よって企業は重視するかしないかをみているのではないかと考えられる。

Copyright 2003, Hikosaka Megumi

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