学科紹介 日本文学専攻 国語学専攻 伝承文学専攻 書道課程
昼夜開講制 貴重図書紹介 入試情報 資料室 HOME

 日本文学専攻  

教員紹介 研究会・サークル紹介 学会通信 日本文学の世界

日本文学の世界 2003.1.20.掲載

青木 池内 石川 岡田 辰巳 傳馬 豊島 針本 松尾 山岡

タイトル!

  あなたは、平安貴族として
    生まれたかったですか?

 

           執筆担当  中古文学 秋澤 亙

  

   あなたは、平安貴族として生まれたかったですか。「一夫多妻なので、是非」などという男性陣はいるでしょう。でも、『蜻蛉日記』などを読むと、存外に「一夫多妻」はご苦労なようですよ。『蜻蛉日記』は、道綱母という女性が主人公ですが、その旦那さんは藤原兼家。有名な藤原道長の親父さんですが、偉い貴族ですから、何かと忙しい日々です。そういうわけで、道綱母の家に四六時中入り浸っているわけにもゆかないのですが、ちょっと顔を見せないと、彼女はもう膨れっ面です。兼家は、とぼけたり、なだめたり、すかしたりと大変で、一人の女性の気持ちも容易につかめぬ現代人男性では、大半がつとまらないだろうなあと実感させられます。どうですか。あなたには自信がありますか。
 一方の女性も悲劇です。相手が来ないからといって、こちらから出てゆくわけにもゆきません。ただただ待つだけ。じれったいやら、はがゆいやら、待ち遠しいやら。自分ではどうにもならないその種のもどかしさは、しばしば「つれづれ」という言葉で表現されます。男性を待つ場合に限らず、当時の女性貴族は軽々しく出歩いたりできませんでした。それなりの理由づけがないと外出もままなりません。だから、お寺への参詣などが楽しみでした。たぶん活動的な現代人女性にはたえられない生活でしょう。やはり、平安貴族などには生まれずに、彼らの生活を外から眺めて、その雅な気分に浸っている方が良いようです。生活は現代人で、心は王朝貴族。そんな優雅な四年間を一緒に味わってみませんか